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“脳への刺激のハードルは高いほどいい” “難しい課題は脳の成長には良質のサプライズのチャンス”

 

 今週金曜は本園でミュージックステップ・MS定期演奏会、また、来週火曜には保育園合同のジョイントコンサートが開催される。これらの催事は子供達の成長ぶりが確かめられ、特に、卒業前の年長児には園生活での成長の集大成として位置付けている。演奏会は33年前東京の日比谷公会堂での開催が1回目で、初めての大舞台に全てが新鮮でワクワクとした記憶がよみがえる。当時は年長児でも頭声での歌声はか細く迫力不足で正に発展途上という所。幼児期の頭声歌唱のお手本も無いに等しい状況にもがき悩んでいた。器楽演奏も歌唱と同様に「幼児期からの本物体験」を重視し、プロが使用するような音色の出る高額な楽器も用意して、少しでも感動が記憶に残るように苦心して整えた。しかし肝心の演奏事体は不安でばかりあった。全てが初めてで先行きが見通せないのに演目は高望みして年長児はドヴォルザークの「新世界より」を編曲してもらい取り組んだ。楽譜をみると「これを子供が演奏するのか」とその複雑さに驚愕した。正に全てが挑戦の連続であったが、結果は当時としては満足に値する出来栄えに心底感動し、演奏後は皆が手を取り合って喜んだ。では、何故、演奏会が成功裏に終えたかを考えるに、十数年前に目に留まった脳科学者の茂木健一郎教授の一文を参考までに紹介する。
 以下…『教育についての議論をしばしば聞く。今の子供達が学んでいる内容が易きに流れているのか、それとも詰め込みに走っているのか様々な説があるなかで、一つだけ確かに言えることがある。それは脳というものは、高いハードルを設定するほど、それに応えようとするものであるということ。低い目標を掲げていては、伸びる脳も伸びなくなる。学習は「誤差シグナル」を用いて行われ、目標がもともと低ければ、小さな誤差シグナルしか生じない。高い目標を設定しておくと、実際のパーフォマンスとの誤差シグナルも大きくなる。そのことが脳の神経ネットワークに対する刺激となり、結果として、ぐんと学習が進むのだ。もちろん目標が高すぎて途方にくれることもあり、神経ネットワークもどのように変化したらよいのか分からないこともあり得る。それでも脳には高い目標を掲げるほどに、何かに追いつこうとする不思議な力があることは、脳科学の研究でも経験的にわかっている。であるならば、その潜在能力を生かさない手はないだろう。また、高い目標に追いつこうとする脳の働きには感情のネットワークが深く関わり、嬉しい時に放出されるドーパミンの量は、自分にはとても力が及ばないと思っていたことが、出来るとその量は多くなり、一方、簡単に出来ることは、例え成功してもそれは「折り込み済」でドーパミンはあまり出ない。難しい課題にチャレンジすることは、いわば脳にとっての「良質のサプライズのチャンス」であって、自分はこんなことまで出来たのかという感動が、脳をぐんと伸ばしてくれるのである…』。
 茂木教授の話は感動もので、私も幼児との関りから感じて学んだこと、またMSの理念とも重なり、MS は茂木教授の話の20数年前に体系化しているので驚きである。「幼児は出来ること、その繰り返しが好き。しかし、それが長くなって易し過ぎると、出来ても苦痛になる・嫌いになる」。上手く運ぶコツは「出来ることを少しずつ難しく変化させ、積み上げながら短期間に済ます」にある。園での音感体験はカリキュラム通り進めて少しずつ変化し基礎作りが充足される。よって、この20年は催事での練習も一ヶ月前後の短期間で臨んでいる。また、MS指導のコツの一つ・集団体験の効果が表われて、出来ない子も周囲の刺激を受けながら回数を重ねていつの間にか出来るようになる。「昨日まで出来なかった子が、今日やってみたら出来た」は日々表われる現象である。質の良い母集団に属する環境は大人でも貴重だが、幼少期なら殊更と言える。基本は「日々の繰り返しを良質になるよう十分に楽しんで行う」所にあるので、第1回演奏会の成功もそれまでの日々のMSや日本語指導、集団体験の積み重ねが基礎力として働いた成果と思われたのである。幼児期なら絶対音感も日々のMS体験の繰り返しで各人なりに定着し、その力は歌唱や器楽演奏とも密接な関係で、大舞台での協働体験を支える土台となっている。幼児期の脳が7~8割ほど成長し、特に感覚脳から知育脳へと成長が変化する卒業前の園児にとって、これらハードルの高い催事を体験する意義は大きい。我が子の「三つ子の魂百まで」から将来を展望する上でも重要と言えるのである。よって今回の催事でも関係者一同で高いハードルに挑戦し良質の脳のサプライズになるよう期待する所である。
 年長5歳児は4月から小学生だが、近年では一番先を心配する。コロナ禍の悪影響は本園でも未だ多い。昨年コロナの影響で小一の成長が4ケ月遅れの報道もあったが、今年はそれ以上と実感し危惧する。ここは是非母子で脳のステージを向上させる仕組みを、高いハードルを仕組んでいくことが賢明と考える。

 
 
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