第6回 廣木太陽君

多彩な打楽器の世界

小泉眞利子先生（以下、眞利子）　太陽君は、お兄さん達がポーランドの演奏旅行に行く為の練習をしている頃、歩けるかどうかという位でしたね。その時から見てましたよ、今日は会えて嬉しいわ。今は音大の打楽器コースに在籍されているということで、パーカッションって色々あるじゃない、専門の楽器ってあるの？

廣木太陽君（以下、太陽） 普段はマルチパーカッションをやっていて、身の周りに色々な打楽器を置いて演奏します。打楽器って本当に個性的な楽器が沢山あります。打楽器コースではスネアドラム一個でコンクールに出る人もいますし、マルチパーカッションで出る人もいて。今度、自分はマリンバで長江杯国際音楽コンクールに出場します。

和楽器もあるのかしら？

はい、学校がない日も毎日忙しくしています。でも、アルバイトはしていて、時間を見つけてプールの監視員をしています。

それ、幼稚園の頃水泳が好きだった太陽君らしいわね！

幼稚園の時の事はどのくらい覚えている？

今、水口先生はキッズルーム東京いずみ、矢口先生はナーサリースクールいずみ新松戸で園長として働かれているわ。矢口先生はクリスマスコンサートを観に来てくださったのよね。前回は太陽君もティンパニーを演奏したものね。

そういえば、太陽君が年中から年長の時に、園舎の建替をしていたのよね。園の前にあったガソリンスタンドの周りを壊していてコンクリート剥き出しの所で怪我したじゃない？

立入禁止になっていたのに、わざわざそこで。

「太陽に持って行かれた！」

合唱団には年中から入ったのよね。その頃は少人数の合唱団で、園児も小学生も一緒に練習していて。一人ちっちゃかったから、皆のマスコットみたいになっていた。

実は年少から入りたくて仕方がなかったんです！兄は二人ともポーランドに行っているので、自分も行きたかったですけど年中の時は行けなくて、　中一の時にやっと話が出て。ポーランド行きは、とてもいい経験でした。思い出深いです。

太陽君は、色々経験したよね。合唱団の皆で録音した『大人になったら何になる』で園長と歌って、丁度節目のいいタイミングに、二度の東京文化会館、オペラシティ。ああいう時に主役を貰ってるんだよね。他の団員から「もう太陽ったら！プン！」みたいに嫉妬されちゃって。

ソロ、主役、って言われた時に、「え、自分なんかが」っていう印象でした。

他に警視庁ピーポ君コンサート、あと育みの卒業式のソロで歌った『ぜんぶ』！途中で太陽君が歌えなくなって、詰まった感じになったら、周りの生徒・職員・保護者が皆貰い泣きで大号泣したんだよね。あの時はもう、「太陽にやられた、全部持っていかれた！」って言っていたのよ。

そんなことないです、恥ずかしい・・・自分でも泣くと思ってなかったので・・・（笑）

卒園後の習い事は、プールとバイオリンを続けていたのね。

あとピアノは今でも続けています。中学の時の部活は、最初卓球部に入りました。でも、歩いていただけなのに躓いて靭帯損傷しちゃって・・・それで吹奏楽部に転部しました。

高校は水泳部だったのよね？

はい、小六まで続けたいずみスイミングで水泳の楽しさを知って、それが忘れられなくて入部しました。日野裕樹先生のお話が凄く面白くて、幼稚園で一番好きだった活動はプールですね。あとは気付かないうちに身体がまん丸になってたので、ちょっと入部して痩せたいなと思って・・・お陰様で身体が引き締まりました！

もう、スラ～としちゃって！そういえば水泳、一級を取って凄く喜んでたことがあったよね。卒業よりずっと前に受かったんじゃない？

はい！これ以上級が上がらないという記念で日野先生が黒のゴム帽子をくださって、すっごく嬉しかったです。

まさか、音大に行くとは思ってなかったの。勿論、音楽が「好き」というのは凄く伝わってきていたけどね。

音大に進んだきっかけは、中二で出演したいずみの定期演奏会の演目『フィンランディア』でティンパニーを担当したことです。日大芸術学部で打楽器コースご出身の室橋歩美先生に指導していただいて。　

あれは名演奏だったわね！

今でもYouTubeに残っていますが、コメント欄に、「ティンパニーすごい！」とか書いてあって「えっ！？そんなー・・・ひぇー」って。凄くびっくりしましたね。

今後、演奏会はあるの？

十一月に打楽器だけの定期演奏会があります。洗足は楽器が凄く多くて。ステージいっぱいにマリンバや打楽器がずらっと並んで、大勢の人で演奏するので観た時衝撃を受けてしまって。今回演奏するのでぜひ見に来てください。多分ライブ配信もあると思います。

今でもピアノを続けてるってさっき教えてくれたけど。

はい、大学で副科の授業で長谷正一先生に教わっています。世界に目を向けた、毎回凄く刺激的なレッスンです。この間、洗足の先輩・杉本直登先生の演奏会に行かせていただきまして。民謡、歌謡曲とか被災地の応援等々されていたんですけど、杉本先生のピアノもすっごかったです。

長谷先生も杉本先生も、いずみではピアノマスター教室（Ｓ＆Ｆミュージックランゲージスクール）や合唱団でお馴染みですね。音大生の演奏って若い感性でフレッシュ。可能性があってそこが魅力。太陽君が通っている大学は色々YouTubeにアップしているから、それを観ていても楽しいわよね。コンクールはあるの？

この間新人演奏会がありました。色んな学校から集まって藝大とか国立音大の方とかもいるんですけど、洗足の先輩がグランプリを獲られてびっくりしました。刺激になります。

夢に向かって最後までやる

将来の夢は？

教職課程を履修していて、将来は学校の先生や、あとやっぱりどこかで演奏できる人になりたいと思っています。門下の教授からは大学院進学のお誘いもあって、迷っているところです。家族は夢のためならと背中を押してくれているので、応援に感謝しています。

いずみで合奏指導する？（笑）どんな道でも、家族が応援してくれるのは心強いわね。音楽の道に興味がある後輩へ、一言ください。

自分には「夢に向かって、最後までやる」という信念があります。高校時代も水泳部に入る時「一から水泳をやって何かひとつ結果を残したい」っていう目標がありました。引退試合で３位になれたことから自分の信念として深まっていった。水泳部から音大生っていう進路は、あまり聞かない話ですし、実はこの選択に不安も凄くありましたが、大学３年になった今は、コンクールに出て、また何かひとつ形にできたらいいなって思っています。なので自分の経験から、音大を目指す人には諦めない気持ちを持ってほしいです。

習い事、水泳も続けているもんね。普通は受験でピアノを離れてしまう子が多い。そこはクリアしているよね。

これは母に言われたんことですが、「一度これと決めたものを曲げない」ってこういうことなんだなって。水泳と音楽、最後までやり遂げたいと思います。

ＭＳやプール等、いずみでの日々が今の太陽君を形作っているとも言えそうですね。太陽君にとっていずみ幼稚園はどんなところですか？

色々考えていましたが、やっぱり自分にとっては「大切な存在」「ホーム」っていう言葉が一番しっくりきます。小さい頃から、それこそ園に入る前から見ていてもらって、卒園後の今もクリスマスコンサートに出演させていただいたり、自分にとってはとても貴重な経験を積めました。これからも大切にしていきたいなって思います。もうほんとに縁ですね。

はい、ありがとうございました！

プロフィール： 洗足学園音楽大学　打楽器コース三年生 平成20年東京いずみ幼稚園卒園
　　　　　　　　 才能育み教室　六期生 いずみＭＳ幼小合唱団　マスタークラス二期生